独創的な見た目から、賛否両論を巻き起こすExcel方眼紙。
近年は、Excel方眼紙で絵を描くツワモノも登場し、今や日本の伝統芸能として花を咲かせています。
しかし、ビジネスの現場では、Excel方眼紙によって仕事が増え、憤りを感じている人が多いのも事実。
私もExcel方眼紙に苦しめられている一人です。
今回の記事では、ビジネスシーンにおいて
・「Excel方眼紙」の何が問題なのか
・問題を改善するにはどうしたらいいのか
を考察してみました!
全Excelユーザーの参考になれば幸いでございます。
使い勝手が良すぎるところは長所であり短所でもある
Excelはテーブル機能が備わったデーターベース要素の強い表計算ソフトです。
テーブル機能とは、データベースにおけるデータ保管の基本で、データを縦横に配置したものになります。
フィールドとレコードという規則的な形式が備わっているExcelは、ビジネスシーンにおいて最も身近なデータベースとして愛用されています。
さらにExcelの優れているところは、データベースとしての利便性だけではありません。
セル結合やインデントのしやすさなど、ユーザビリティの良さによって表計算ソフトの域を飛び出し、Wordの代わりとして帳票作成に使われたりもしています。
たしかにExcelはカスタマイズが簡単にできて便利だよ。
帳票として使われる代表例が「Excel方眼紙」です。Excel方眼紙とは、セルを縦横同幅に細かく設定し、方眼紙に見立てる様式のことです。
行政の公表資料において、「Excel方眼紙」の発生頻度は高いです。
まさに様式美!そもそも表計算ソフトとしての用途を超えたからこそ、ここまでExcelが浸透したのかもしれね~な。
このようにExcelは「Excel方眼紙」と「データベース」という全く異なる二つの用途で広く活用されています。
この二つは同じExcelから生み出されたシートであっても、用途の違いから、本来水と油のごとく交わることはないはずです。
しかし残念ながらビジネスの現場では、混ぜるな危険!を超えて生み出された奇妙な「Excel方眼紙型データベース」が数多く存在します。
そして「Excel方眼紙型データベース」を受け取った2次利用者側は、本来の分析業務を行う前に、データの修正作業に多大なエネルギーを費やすことになるのです。
まさに、職場の生産性向上を阻害する要因じゃねーか!Excelの持つ操作性の良さが裏目に出てるってことだよな。
Excel方眼紙、後から編集する場合に死ぬほど触りにくいし、無差別にデータが並ぶから外部参照しにくいし、おまけに表作るときにセル結合連発するから数式入れにくすぎて本来のExcelの表計算機能を損なってかなりの悪手なんだよな。
— らぶ☆あーす (@love_earth_77) May 13, 2020
上記の使い方ならエディタやWord使った方がいいし、Excelとしての本来の使い方のデータマトリクスとしての役割を教える方がいいと思う。
いきなりExcel方眼紙教えちゃうと、数式やVBAでの効率化・自動化の際に障壁になるよ。— 花見川 (@ch1248) May 12, 2020
Excelはどのように作るべきなのか?
使い勝手の良さが魅力のExcelですが、Excel方眼紙型とデータベース型では用途は全く異なるため、混ぜて作ると確実に悲劇を生みます。
特に、Excelをデータベースとして使用するのであれば、データベースとしての基本ルールにのっとった作成を心がけましょう。
データベースとしての基本ルール?これってあまり知られていないような?
データベースとしての基本ルールを知るには、総務省が示した【データ入力の統一ルール】が参考になります。
その中から「これだけは守るべき」という6つの基本ルールを独断でピックアップしました。
まずは6つの基本ルールを覚えていきましょう。
データベース形式の基本ルール① 1セル1データ
一つのセル内には、一つの情報が基本ルールです。データが複数入っていると、計算や並び替えができず、グラフ化による分析作業の妨げになります。
データベース形式の基本ルール② 数値データには、⽂字列を含めない
数値データを文字列にしてしまうと、合計などの演算ができなくなります。
データベース形式の基本ルール③ セルの結合はしない
セルが結合されていると、データの並べ替えや条件によるレコードの抽出がうまく機能しなくなります。
データベース形式の基本ルール④ セル内改⾏は行わない
セル内で改行してしまうと、分析や集計の妨げになったり、データを別のシステムに2次利用する際、正しく読み込めなくなります。
データベース形式の基本ルール⑤ データを分断しない
データが分断されてしまうと、データの2次利用でプログラムを組む際、最終行や最終列がどこなのかが分からなくなり、データの全体像の把握が難しくなります。
データベース形式の基本ルール⑥ シートに複数の表を掲載しない
1シートに複数の表があると、⑤のデータの分断と同じく、データの全体像をつかむのが難しくなります。データシートの原則は、1シートに1テーブルであり、A1セルからレコード×フィールドです。
以上、①から⑥までのルールにのっとって元データを作っておくことで、データの2次利用者がプログラミングを組みやすくなったり、関数を使って作業したりと、より高度なデータ利用が可能になります。
なるほどな~。誰かと共有するデータだからこそルールを守らないとだな。
まとめ
以上、「Excel方眼紙は混ぜるな危険!用途を守って正しくお使いくださいという話」をお送りしました。
Excelはカスタマイズ性が高く、とても使いやすいソフトです。だからこそこれだけビジネスシーンに浸透したのだと思われます。
しかし、操作性が良すぎるがゆえに、表計算ソフトとしての基本ルールが浸透するよりも早く、日本独自のExcel方眼紙という文化が花開き、現場に混乱を招いてしまっていることも事実です。
だからこそ、やはり表計算ソフトとしての基本ルールを職場に浸透させることははめちゃくちゃ重要なんですね!
みんながみんな個人の最適化を追い求めたら、全体の最適化が失われていくんだって。各個人が基本的なルールを知っておくって大事だぞ。
お!?たまにはいいこというじゃね~か!
おしまい。
補足:ここまで書いといてなんなんですが、エクセルに搭載されているPowerQueryを使えば、NGのようなデータも楽々整形できます。
PowerQueryの記事も参考にしてみてください!