e-Gov経理ツール

e-Gov電子申請は読解力とサンクコストによって成り立っている

経理の世界では、紙は悪!って思想が流行りつつありますよね。

例えばこのCMが顕著かと。

紙の書類を全否定する煽り気味のCMです。

確かに世の中的にDXの流れが加速しているし、これから電子帳簿保存法もはじまるしで、

U-ROOm
U-ROOm

やっぱり紙で対応してるのってマズイですか?

と不安な気持ちも隠しきれず。

ちょうど7月は社会保険の見直しの申請や、労働保険の更新申請の時期ってこともあり、一念発起して流行の電子申請にトライしてみることにしました。

この記事は、電子申請に挑戦したことで、大切なことに気がついた備忘録です。

紙 vs 電子 戦いのゴングが鳴った!

行政への申請や届出の方法は、
①紙の書類を郵送する
②電子申請する
の2パターンがあります。

ちなみに、会社使用している弥生給与というソフトを使えば、紙の申請書と同じフォーマットで、必要な従業員情報が登録された状態でプリントアウトすることが可能です。

プリントアウトする書類はこんな感じです。

弥生給与から申請書をプリントアウトして、不足する情報を手書きでパパっと追記すれば、きっと1時間もかからず作業は完了するでしょう。

猫雄
猫雄

おお⤴!?紙に軍配が上がるか?⤴

否!

電子申請であれば、もっとスマートなはずだ!

暑い中、郵便局に行くこともなくデスク上で短時間で申請が完了するはずだ!

U-ROOm
U-ROOm

それに~、なんとなく電子申請の方がIT強そうに見えてかっこよくないですか~?

ってことで、なんとなくITリテラシー高そうな雰囲気にやられ、電子申請を選択することにしました。

しかし、この意思決定は作業を進めるごとに後悔の念へと変わっていくのでした。

難解すぎる届書作成プログラム

電子申請するには、届出書類を電子データで作成する必要があります

電子データを作成するためのツールが「届書作成プログラム」です。
引用:厚生労働省「電子申請のご利用案内」

「届書作成プログラム」アプリをPCにダウンロードして、従業員の申請情報を入力していきます。

入力画面がこちら

登録画面に従業員一人一人の情報を入力していくことで電子データが作成できます。

ゆっさん
ゆっさん

1人ずつ入力するの面倒だな。けっこう労力いるぞ。

調べたところ、届書作成プログラムには、まとめて登録ができるデータ取込機能があるようです。

U-ROOm
U-ROOm

使わない手はないではないか!

ってことで、早速ファイル取り込みに挑戦することにしました。

ファイル取り込みのマニュアルはどこにある?

まずは取り込みファイルの作成方法をググってヒットした厚生労働省のQ&Aをチェック。

なるほど!「データ取り込みにおいて、取り込める項目を教えてください。CSVファイル作成上の注意事項はありますか。」ってやつが該当しそうだ。

クリックすると、回答ページに飛びます。

U-ROOm
U-ROOm

え?回答これだけ?

どうやら、このページには求めている情報はなく、「操作説明書(詳細版)」とやらに掲載されているようです。

そこで今度は「操作説明書(詳細版)」を探します。

あった!

猫雄
猫雄

うわ~、読む気になれない表紙だ~

気を取り直して、該当の「第4章2.(2)CSVファイルに保存された被保険者情報を取り込む場合」に飛びます。

該当箇所あった~!でもでもでも、なんだかよくわからない…

U-ROOm
U-ROOm

ハッ!!!

ここで重要な情報が記載されていることに気がつきます。

なにやら取り込みファイルのサンプルが存在するようです。
U-ROOm
U-ROOm

おお!サンプルファイルがあるのか!

「届書作成プログラム」をダウンロードした同じ格納場所に、確かにサンプルファイルがありました!

中身はこんな感じです。

U-ROOm
U-ROOm

なるほど!情報を1行ずつ項目ごとに入力するのか!

U-ROOm
U-ROOm

弥生給与ソフトから必要な情報を取り出してコピペすればOKだな!余裕余裕~。サンプル様様~。ルンルン。

サンプルファイルの存在により、作業の手間は大幅に削減できる!と、高をくくっていたのですが、

U-ROOm
U-ROOm

この妄想はまたもや打ち砕かれることになります

守るべき入力ルールは多い

マニュアルを読み込むと、どうやらプログラムに情報を理解させるには、情報をプログラムが理解できる形に変換しないといけないようです。

例えば、

  • 男性は1、女性は2に数値変換が必要
  • 生年月日を数字6桁表示にする 例:昭和62年5月1日 →620501
  • 昭和は5、平成は7に数字変換する 例:昭和●年 →5
  • 姓名の間には全角スペース 例:電子太郎 → 電子 太郎
  • 姓名フリガナは半角 例:デンシタロウ →デンシタロウ
  • 姓名フリガナの間には半角スペース 例:デンシタロウ →デンシ タロウ

などなど。

そのため、人事労務ソフトから抽出したデータはそのままでは使用できません

入力ルール通りにデータを修正する作業が必要です。

ゆっさん
ゆっさん

結構、細かいルールがいっぱいあるじゃね~か!マニュアルをちゃんと読み込まねーと作業が進まねーぞ!

マニュアルを注意深く読み込み、ルール通りにデータを作成して、やっと取り込み開始画面へと進みます。

エラー原因をとにかく調べる

 

U-ROOm
U-ROOm

ふぃ~。なんとかファイルが完成した!やっとデータ取り込み画面に進めるぞ~!

取り込み画面をポチ!

しかし、開始早々エラーが発生!!

エラーの原因をひたすら探します。

あった!あった!あった!マニュアル全246ページの205ページ目に!!!

エラー原因は、数字一桁の場合は文字列に変換して二桁にする必要があった!ということでした。

ゆっさん
ゆっさん

そんなん、わかるかい!

なんとかエラーを突き止め、再チャレンジ。

しかしその後もエラーが頻発。

原因は、山﨑さんの「﨑」という環境依存文字が読み込めなかったり、中国人従業員名の簡体字が読み込めないといったものでした。

電子申請に挑み、届書作成プログラムにデータを取り込むところまでで、すでに5時間が経過しています。

U-ROOm
U-ROOm

ひ~、残業確定~

業務効率を阻害する本当の敵はサンクコストかもしれない

どう考えても電子申請作業は時間がかかりすぎている…ここは紙の書類提出に切り替えた方がいいのではないだろうか…

柔軟な考えが頭をよぎります。引き返すなら今だ!

しかし!!!

U-ROOm
U-ROOm

ここで引き下がるわけにはいかねぇ!

と謎のプライドが発生。

むしろここまで時間と労力をかけたからこそ、どうしても引き下がれねぇ!!

れんごくさん
れんごく氏

俺は俺の責務(電子申請)を全うするのみ!

なんとしても電子申請を成功させる!めらめらと闘志がわいてきました。

そして開始から7時間、ついに作業は完了しました。気づけば時計は夜の8時。社内には誰もいない。

一人なんだかわけのわからない何者かと戦い、ついに電子申請手続きの戦いに完全勝利を治めました!!

れんごくさん
れんごく氏

よくやった!敵の名を教えてやろう!

U-ROOm
U-ROOm

教えてください!れんごく氏!なんなんですか!?

れんごくさん
れんごく氏

その名はサンクコストだ!ガハハハハ~

サンクコストとは

それまでに費やした労力やお金、時間などを惜しんで、それが今後の意思決定に影響を与えること。

引用:野村證券 証券用語解説集より

結論

e-Govの電子申請を行う際に最も必要なスキルは、ITリテラシーではありませんでした。

最も必要なスキルとは、ずばり、250ページのマニュアルから重要なポイントを抽出する「読解力」でしょう。

そして最大の敵は、時間と労力がかかることで引き下がれなくなるサンクコスト

この敵と共存することで、

U-ROOm
U-ROOm

なんとか電子申請を成功させることができましたとさ~。

結論:DXの時代こそ国語力と柔軟性が必要だぜ!

おしまい。

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ゆるむ U-ROOm
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